メキシコの“パチューカ”といえば、サッカーの本田選手が移籍した場所、というイメージをお持ちの方が多いかと思いますが、そこに虹色のスラム街があることをご存知ですか?
メキシコに行ったことがある人ですら、「そんな場所は聞いたことも無い」と、口を揃えて答えるほど知名度は低いのですが、私にとっては訪れた中で最も印象的な街となりました。
このスラム街に関して、ガイドブックには一切触れられておらず、情報収集に苦戦した経験から、実際に訪れた私にしか分からない生の情報をまとめてみました。
今後、パチューカのパルミタス地区を訪れる方の参考になれば幸いです。
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なぜカラフル?アートの力で世界が変わる!
虹色のスラム街がある場所は パルミタス地区 (Palmitas) と呼ばれ、パチューカの中でも貧困層が住む地域です。
ギャング同士の抗争、蔓延するドラッグ。暴力事件が多発し、外に出歩けないほどの治安の悪さに悩まされていました。
そんな街の治安を良くしたい!と、メキシコ政府が取った思いもよらぬ治安対策が、街全体をカラフルに染めるというもの。
この問題の改善ために、政府はストリートアート集団の「Germen Crew」に協力を依頼し、家々の壁一面を使った巨大なアート作品を作り上げたのです。
どの家の壁画も一つで完結することはなく、上下左右の家同士が繋ぎ合わさるよう計画的に描かれていることが分かります。
▼見違えるように生まれ変わった街
▼どこを見渡してもカラフルな色に囲まれています
▼街の至る所に美しいストリートアート
壁を塗る作業は住民たちと共同して行われ、隣人同士の交流が活発になったといいます。
さらに、対立していたギャングたちまでもが作業に加わるようになり、暴力事件は徐々に減少。
色の持つ力が住民たちの心を活性化させ、このプロジェクトは成功のうちに幕を閉じました。
* … * … * … * …*
ストリートアートが治安改善に有効であることを立証した地域は、このパミルタスだけに限らず、
リオデジャネイロのスラム街でも、街全体を巨大なキャンバスに見立てて壁画を描き、地域を活性化させ話題となりました。
今後も、この動きは世界中に広まっていくことでしょう。
パルミタス地区の治安は?
アートの力で治安が劇的に改善したパミルタス地区ですが、とはいえ、元々は外に出歩けないほど危険な“元”スラム街だった場所です。
旅行者としては、当然の如く「治安」が気になりますよね。
ゆかり
ネットの情報はかなり限られてましたが、
- 「エリア中には立ち入らない方がいい」
- 「住民からの鋭い視線を感じた」
等々の否定的な書き込みも見られました。
しかしながら、こんなカラフルな階段を目の前にして、登らずにはいられません。
思い切って中に入ってみましたが、結論、特に問題はありませんでした。
地区内を歩いていると、アジア人が珍しいのか、住民の子供たちが遠巻きに私のことをつぶらな瞳で見つめてきます。
訪れたのが年末だったということもあり、おそらく学校が休みなのでしょうか。
私が手を振ると、顔を赤らめて手を振り返してくれました。
すると、その子供の親が家から出てきたので、一瞬ビクっとしましたが、親の表情も柔らかいものだったのでホッとしました。
* … * … * … * …*
あと、これは訪れて初めて知ったことなのですが、パルミタスは全く観光地化されていません。
私の中では、巨大なストリートアートが「街おこし」となり、多くの観光客を引き寄せているのかと勝手に思い込んでいたのですが、観光客には1人も会いませんでした。
街で見かけるのは住民の方々のみです。
施設に関しても、小さな売店はありますが、レストラン等は一切ありません。
つまり、(カラフルすぎることを除いて) ここはごくごく一般的な 住宅街 なのです。
▼道端には、住民のものと思われる車がずらり
となると、よそ者である旅人に求められるのは、「極力、住民たちの方々の邪魔にならないように努める」こと。
パルミタスでは数え切れないほどの写真を撮りましたが、撮影中、前方に人が歩いてくるのを見かけたら、すぐに構えていたカメラを下し、にっこり笑って挨拶。
住民の方々には、一度もカメラを向けませんでした。
ゆかり
これが正解なのかは分かりませんが、普通に人々が生活している場所なので、明らかに目立つような行動を控え、マナーを守って行動していれば、身の危険を感じることは無いのではと思います。
また、念のため訪れるのは明るい日中の時間帯にしましょう。
パルミタスの歩き方
ではでは、お待ちかねの(笑) パルミタスぶらり街歩きリポートをお伝えします。
私はこのようなルートで周りました。
(※「メイン山」「サブ山」は私が勝手に名付けたものです)
まず、パルミタスの入口 (★印の部分) から散策スタートです!
入口には、プロジェクトの概要を記した看板がありました。めっちゃ色褪せてるけど。笑
▼メインストリートらしき道を進み、頂上を目指します。
▼カラフルな風車の紙かざりがお出迎え
▼上へ、上へと登ります
そもそもパチューカは標高が高く、パミルタスはさらに高度が上がるので、ちょっと登っただけでもすぐ息が切れます。
写真を撮りながら時々立ち止まり、休憩を入れ込みましょう。
カラフルなのはメインストリートだけじゃないので、途中、脇道に逸れまくります(笑)
▼ストリートアートも完成度高すぎです!
▼そんなこんなで、頂上が見えてきました。十字架の部分が丘のてっぺんです。
頂上からの眺めがこちらです。ここまで頑張って登ってきて良かった~!
これ、写真より実物のほうが相当なインパクトがあります。まわりをぐるっと360度、こんな感じの絶景なんです!
▼360度カメラで撮影
▼パノラマで撮影
大きなサッカー場が目立ってますね。あそこで本田選手が練習してたりするのかなー♪なんて想像したりします(笑)
▼頂上から見るお隣のサブ山
頂上からの景色を満喫したところで、お次はサブ山に向かいます。
まだ作成途中の段階のような気もしますが、ここも相当なカラフルさです。
▼お気に入りのジグザグ階段
▼登っててこんなにも楽しくなる階段は、これが初めて。
パミルタスは規模的にはそこまで大きくない割に、見どころ&フォトスポットが満載なので、あっという間に時間が過ぎていきます。
私は、メインとサブで2.3時間ほど散策してましたが、たくさん写真を撮っていたら全然時間が足りませんでした。
ゆかり
パルミタスのビューポイント
パルミタスは、もちろんカラフルな街の中を散策するのも楽しいのですが、
少し離れた場所から街を眺めると、巨大なストリートアートの全体像が分かり、より感動度が増すかと思います。
実際に様々な場所で撮影してみたのですが、個人的なべスポジを紹介します。
パルミタスから少し離れた大道路に歩道橋がかかっており、そこからの眺めが最高でした。
▼完全に絶景です!!!
逆に、「目の前にあるデパートの駐車場」「パミルタスの入口」から撮影すると、距離が近すぎて微妙な感じになります。
▼デパートの駐車場からの眺め
▼パルミタスの入口付近からの眺め
これだと、流れる風の様なデザインが全く分かりません。
撮影の際は、パルミタスから距離をとってカメラを向けましょう!
パルミタスへの行き方・アクセス情報
カラフルすぎるスラム街までの道のりは、比較的容易です。
メキシコの首都であるメキシコシティから、バスで1時間半程度揺られれば到着します。
ですので、メキシコシティから日帰り or 半日観光も可能です。(※私は午後からの半日観光)
▼位置的には、有名なテオティワカン遺跡よりもさらに北にある感じです。
ざっくりとルートを書き出すとこんな感じです。
- メキシコシティ北方面バスターミナル
↓ 長距離バス:所要1時間半
- パチューカ長距離バスターミナル
↓ 徒歩 or タクシー
- パルミタス地区
メキシコシティからパチューカへ
出発地点は、メキシコシティー北方面バスターミナルです。
- ADO (アデオ)
- Flecha
- Roja
- Elite
毎時10~14本と、かなりの本数があるので、あらかじめ予約する必要も無いと思います。
私は行程上かなり弾丸旅だったので、いちいち4社の代金を比較している時間が無く、行きは有名どころのADO、帰りはFlechaを利用しました。
ゆかり
▼ADO社のチケット販売カウンター
▼支払いはクレジットカードも可
▼乗車前に、荷物チェック&ボディーチェックがあります
▼ADO社のイメージカラーである赤いバス
▼座席はふかふかで快適♪
走行中、車内では大音量でビデオが流れてました。(※メキシコのバスあるある)
日本を題材にしたアニメのようです。しかし、オールスペイン語なのでさっぱり分かりません。
▼途中、車窓からカラフルな街並みを見かけました
▼街の名前は分かりませんが…第2のグアナファト?(笑)
車窓からのカラフルな風景を楽しみたい方は、行きは左側、帰りは右側の座席を選びましょう。
そんなこんなで、バスはほぼ定刻通りにパチューカのバスターミナルに到着!パチューカは終点です。
バスターミナルから遠目にパミルタス地区が見えるので、この時点でテンション上がります(笑)
パチューカバスターミナルからパルミタスへ
パチューカの長距離バスターミナルからパミルタス地区までは、少々距離があります。
約1.5kmなので歩いていけないことも無いのですが、私は時間に余裕が無かったので、お金で解決しました(笑)
バスターミナルを出てすぐの場所にタクシーが何台も待機しているので問題無いです。
代金:40ペソ(約230円)
タクシーで向かう場合、歩道橋か入口付近で降ろしてもらうのが良いと思います。
さいごに
色彩豊かな街は、パミルタス以外にも存在しますが、ここまでのレベルでカラフルな地域は稀で、世界に色がある理由がわかったような気がします。
私にとっては、メキシコで訪れた中で最も印象的な街となりました。
メキシコで「カラフルな街」といえば、圧倒的にグアナファトが有名かつ定番だと思いますが、パミルタスも負けてはいません。
メキシコシティから片道約5時間もかかるグアナファトとは異なり、1.2時間足らずでサクッと行けてしまうアクセスの良さも魅力的です。
超弾丸での散策でしたが、カラフルな色に囲まれて、本当に本当に幸せでした…♡
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こんにちは。
今月、mexicoに行くので色々リサーチをしています。
CDMX近郊を調べていたら、このページにたどり着きました。
パミルタス、いいですね!!
絶対に行きます。
ありがとうございます。
コメントいただきありがとうございます。
メキシコシティからのアクセスも容易ですので、ぜひ訪れてみてください^^